介護分野において、どんな人が「仕事ができる人」という定義に当てはまるのか、これには様々な考え方があるかと思われます。なぜなら、経営者や雇い主の視点から仕事ができると評価される基準と、一緒に働く同僚の視点から仕事ができると評価される基準は違うからです。同じように、サービスを受ける利用者やその家族の目線からは、仕事ができる介護職員との評判と人気があっても、同僚や雇い主からはそれほど評価されていない、ということも往々にしてあります。具体的な例を挙げると、利用者にとっては自分の話をよく聞いてくれ、自分のペースや生活リズムに合わせて頼んだことを何でも笑顔でやってくれる人が仕事ができる人となります。しかし、経営者や雇い主の視点からは、決められた時間内に、既定の範囲内の仕事を効率的、且つ予算の範囲内で行えるのが仕事ができる人であり、一人のご利用者にあまりにも時間や注意を払いすぎてしまっては、業務に支障が出るという考え方もあるのです。あくまでもこれは一つの例にすぎませんが、評価する人の視点によって、「仕事ができる人」の定義が変わるというのは事実なのです。そうなると、どの立場の目線から見ても「この人は仕事ができる」という評価を得ようとすることは現実的ではないのかもしれません。そこで、大切になってくるのは、自分の考え方でしょう。自分は介護に関わる者として誰の視点を一番重要視しているのか、誰の目線から見て「仕事ができる人」でありたいのか、といったことを自問自答することが必要です。自分の見方を変え、発想を転換してみると物事の本質や自分の考えが見えてくるのです。